嘘っこの森と本物の森があるって知ってましたか?12日に公開になったドキュメンタリー『Le temps des forêts / 森林の時間』(フランソワ=グザヴィエ・ドゥルエ監督)は衝撃でした。
実は林業も農業と同じく工業化の波が押し寄せ、生産性=経済効率が優先されている。素人には一見わからないけど、嘘の森には植林された木以外の生命は存在しない。鳥の鳴き声も茸やシダといった植物も昆虫も、何もない。肥料と殺虫剤まみれの苗が等間隔に植えられた人工森に生命は宿らないのだ。成熟すると木々は伐採される。この伐採から木材としてトラックに積み込まれるまでの過程で登場するマシーンの能力がすごくて唖然とする。すごい効率だ。一台何千万円もするんだろうなぁ。
一方、全ての意味で豊かな本物の森で、電ノコ一丁で木こりをしているおじさんが「銀行を肥やすために働くなんてまっぴらだ」と。エコロジーとエコノミー、目先の楽ちんか長いスタンスの豊かさか、人類は選択を迫られている。(吉)